排卵って一体なに?
まず、排卵の仕組みについて見ていきましょう。
女性の体内には、生まれたときから約200万個の卵子が備わっています。生理が始まってから、閉経を迎えるまでの間に排卵される卵子の数は、そのうち400~500個ほど。
卵子は、子宮の両脇にある2つの卵巣の中、卵子を包み込む卵胞という袋のようなものに入っています。
「卵胞期」と呼ばれる時期に、卵胞が成長します。
卵胞が十分に成熟すると、次は「排卵期」に入り、卵胞に包まれていた卵子が、卵巣から通常1個飛び出します。これが排卵です。
「排卵期」と呼ばれる期間は2~3日間ほどで、排卵日付近は水っぽく、糸を引くようなおりものが増えます。
ホルモンバランスが大きく変動するので、ココロやお肌の調子が不安定になる方も多いようです。排卵の際に、下腹部の痛みや、出血を伴う場合もあります。
排卵と生理
通常、1回の生理周期(約25~38日)の中で、排卵は1度起こります。
排卵は次回生理予定日から数えて約2週間前のタイミングでやってくると言われています。
生理周期について
生理周期は、以下のサイクルを繰り返して巡っていきます。
①卵胞期:卵胞の中の卵子が成長
↓
②排卵期:成熟した卵胞から卵子が飛び出す
↓
③黄体期:黄体ホルモンの分泌で、子宮内が妊娠しやすい環境に整っていく
↓
④生理:受精卵が着床がしない場合、子宮内膜が剥がれ落ちる
「①卵胞期」に分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)は子宮内膜を厚くするだけでなく、肌や髪を艷やかにする働きがあります。副交感神経の働きが活発になるため、気分も明るく、活動的になる時期です。
ですが、「②排卵期」に入ると卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減るため、排卵中は体調を崩す方が多いようです。
排卵と妊娠
妊娠の仕組み
卵巣から飛び出した卵子は、卵管の先にある卵管采という部分に取り込まれて精子を待ちます。この時期に、子宮内膜はどんどん厚みを増し、精子が着床しやすい環境を作ります。
卵管で待っていた卵子と、膣内に射精された精子が出会うと、「受精卵」となります。
そして、細胞分裂をしながら6~7日間かけて卵管を移動した受精卵が、子宮内膜に着床することで妊娠が成立するのです。
妊娠しやすい時期について
実は、排卵日当日よりも、排卵日の2~3日前にセックスをする方が妊娠の確率が高いとされています。
というのも、卵子と精子はそれぞれ寿命が異なり、精子の寿命が2日~5日間なのに対して、排卵後の卵子の寿命は約12~24時間ととても短いからです。
このため、排卵したときに、精子がすでに体内でスタンバイしていることが、妊娠には理想的なコンディションとされているのです。
※排卵日の2~3日前は、おりものが最も水っぽく、精子が子宮頸管を通りやすくなる時期でもあります。
妊娠について
知っておきたい妊娠の仕組み
2021/6/28
排卵のタイミングを知る方法
おりものの変化を観察する
排卵のタイミングを知るのに、分かりやすいのはおりものの変化です。
排卵期のおりものは、水っぽく、ゼリーのようにぷるんとしていて量が多いことが特徴です。また、粘り気も強いので、指にとってみるとよく伸びます。
ただ、おりものの変化はあくまで目安なので、より正確に排卵予定日を知りたい場合は基礎体温の計測や排卵日検査薬を使うようにしましょう。
基礎体温をつける
ホルモンの影響を受け微妙に変化する体温から、自分の生理周期を把握することができます。
生理周期を把握することで、大まかな排卵のタイミングを予測できるようになります。通常、次の生理予定日の約2週間前のタイミングで、排卵が起こると言われています。
また、基礎体温が低温期から高温期に移った際には、その2~3日の間に排卵が起きていると考えられます。
しかし、体温の変化には個人差がありますし、生理周期が安定していない場合など、排卵の時期を予測するのは難しいと言えます。
気になる症状・病気について
基礎体温はどうして変化するの?体温から分かる妊娠や病気のサインも!
2022/2/18
気になる症状・病気について
基礎体温でココロと身体の健康管理:基礎体温の測り方を知っていますか?
2021/6/22
排卵日検査薬
排卵日検査薬は、薬局で買うことができる便利なアイテムです。
尿の中に含まれるLH(黄体形成ホルモン)濃度で、排卵日の約1日前を予測することができます。
基礎体温を前もって測定しておき、排卵予定日と考えられる数日前から検査薬を使用するのがおすすめです。
排卵が起こるであろう約1日前に陽性反応が現れます。
まとめ
排卵は、妊娠に向けての大切なプロセスの1つです。
実際に排卵が起きているかどうかを判断するのは、目で見ただけではわかりませんが、基礎体温などから知ることができます。
「排卵しているかな?」と身体に意識を向けてみることで、自分の生理周期や身体の変化に気づけるようになるかもしれませんね。
監修医師:小林克弥先生
自分の状態を相談したい場合は?
不安なこと、お悩みを薬剤師・助産師に直接相談することができます。