生理痛はなぜ起こる?
子宮には「子宮内膜」という、受精卵を受け止めて赤ちゃんのベッドの役割をする組織があります。子宮内膜は生理後から徐々に厚くなっていきますが、妊娠しなかった場合は不要になるので、剥がれて血液と一緒に体の外へ排出されます。これが生理です。
不要になった子宮内膜を排出するときに、子宮内膜から「プロスタグランジン」という物質が分泌されます。
この物質が子宮を収縮させ、子宮内膜を血液とともに体外にギューッと押し出す働きをします。これが原因で、下腹部や腰に痛みが生じるのです。
生理痛の原因
生理痛が起こる原因について、もう少し詳しくみていきましょう。主な原因は4つあります。
プロスタグランジンの分泌量が過剰
先ほど説明したプロスタグランジン。生理中にはがれ落ちた子宮内膜を体の外へ押し出すために、子宮の筋肉をギューッと縮める働きをする物質です。この物質の分泌が多いと、必要以上に子宮が収縮し、下腹部や腰の痛みにつながります。
冷え・血行不良
体が冷えると血液の循環が悪くなります。
そうすると痛みの元となるプロスタグランジンが骨盤内にたまってしまうので、痛みが強くなります。
もともと生理中の体温は生理前よりも低い状態。さらにプロスタグランジンの働きで血管が収縮するので、血行が悪く、体は冷えやすくなっています。長時間のデスクワーク、ガードルやジーンズでのからだの締め付けも血行不良の原因となり、生理痛の悪化につながることも。
ストレスの多い状態が続く
過剰なストレスは自律神経やホルモンのバランスを崩し、血行が悪くなります。また体温を調節する機能も低下させるので、冷えやすくなるため、痛みが強まってしまいます。
子宮の出口がせまい
若い女性や出産経験のない女性に多くみられます。
子宮の出口がせまいと、経血が外に流れにくく、これにより痛みを感じます。
また、出産をした後に生理痛がひどくなることもあります。出産後しばらくはホルモンバランスが安定していないので、生理が再開してもホルモンバランスが安定するまでは妊娠前と比べ生理の状況や症状に差がある場合があります。
つらい生理痛のやわらげ方
痛み止め(鎮痛剤)
多くの痛み止めは、痛みの元である「プロスタグランジン」の作られる量を減らす作用を持っており、これによって痛みをやわらげることができます。
よく「生理のたびに痛み止めを飲むと効かなくなる」といいますが、市販の痛み止めは、用法・用量を守っていれば効かなくなることはありません。
ただし、1ヶ月に10日以上痛み止めを飲んでいるようなことがあれば、身体に何か異常があるかもしれません。一度医師の診察を受けることをおすすめします。
超低用量ピル・低用量ピルの服用
ピルには子宮内膜が厚くなるのを防ぐ作用があります。痛みの元であるプロスタグランジンは子宮内膜から分泌されている物質。ピルによって子宮内膜が厚くなるのを抑えることで、プロスタグランジンが作られにくくなり、生理痛がやわらぎます。
身体をあたためる
身体の冷えは生理痛を悪化させてしまいます。ひざ掛けをかけたり、カイロを貼ったりして、下腹部や腰を冷やさないようにしましょう。夏でも薄着しすぎない、靴下を履く、お風呂は湯船につかるなど、身体を温めることで生理痛がやわらぎます。
軽いストレッチをする
身体を動かすことで血行が良くなり、身体があたたまります。気分転換やリフレッシュにもなるので、無理のない範囲で軽いストレッチや運動を取り入れてみましょう。
こんな生理痛は要注意!
痛み止めを飲んでもおさまらない
痛み止めが効かないほど強い生理痛がある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症といった何らかの病気の可能性がありますので、一度医師の診察を受けることをおすすめします。
生理を重ねるごとにひどくなる
生理のたびに生理痛が悪化している場合は、子宮内膜症かもしれません。
子宮内膜症は生理を重ねるごとに進行します。早めに婦人科を受診しましょう。子宮内膜症が進行すると、腰痛・性交痛・排便痛といった症状もあらわれます。放っておくと妊娠しづらい身体になる可能性も高く、注意が必要です。
まとめ
生理痛の原因や対処法について紹介してきました。
痛みがひどく対処法を試してみてもおさまらなかったり、生理がくるたびに症状が悪化したりするような生理痛は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れているかもしれません。適切な治療で改善することができますので、生理痛がひどいときは我慢せずに医師の診察を受けるようにしましょう。
医師監修:小林克弥先生
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