低用量ピルによる避妊の仕組み
低用量ピルを飲むと体に下記のような変化が起こります。
- 排卵が止まる
- 子宮内膜が厚くならないため、受精卵が着床しない
- 子宮の入り口にある頚管粘液を変えて、精子の侵入を防ぐ
上から順番に解説していきます。
まずは生理の周期から見ていきましょう。28日の生理周期はだいたいこんな感じです。
卵胞期には、2つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の量が高まり、妊娠の準備が始まります。
エストロゲンとプロゲステロンの量は、妊娠しないと黄体期に急激に低下します。
妊娠した場合、これら2つの女性ホルモン量は高いままです。
ピルにはエストロゲンとプロゲステロンに似た成分が入っており、体内のホルモン量を一定の高さに保ちます。
そのため、脳が体内にホルモンがあると勘違いして、「排卵して!」という指令を出さなくなります。
その結果、排卵が起こらず、避妊効果を得ることができるのです。
排卵が止まるのは服用している間だけで、服用をやめればまた排卵が起きるようになります。卵巣や、卵子の性質には影響ありません。
ピルの服用によって将来妊娠できなくなるということはありませんのでご安心くださいね。
さらに、万が一排卵して受精した場合にも、ピルは子宮内膜を着床しにくい状態にしてくれます。
受精卵が着床するためには子宮内膜が厚くなっている必要があるのですが、ピルを飲んでいると子宮内膜が十分に厚くならないので、受精卵が着床しにくいんです。
また、子宮の入り口には頚管粘液(けいかんねんえき)が分泌されており、この粘液は排卵期にはさらっとした液体になって精子を入りやすしたり、感染予防の働きももっています。
ピルを飲むとこの粘液の粘着性が高まることで精子が子宮内に入りにくい環境になるのです。
これらのさまざまな作用によって、高い避妊効果が得られるのです。
低用量ピルの避妊効果が得られるのはいつから?
生理初日に服用を開始し、毎日同じ時刻に服用し続けた場合、飲み始めたときから避妊効果が得られると言われていますが、7日間服用するまでは他の避妊方法もあわせて使うと安心です。
飲み忘れがない限り、低用量ピルの服用を続けている間は避妊効果が持続されます。
また、休薬期間や偽薬期間も、次のシートをきちんと飲み始めることができれば避妊効果が持続します。
※休薬期間…21錠タイプのピルにある、お薬を飲まない7日間の期間です。生理が起こります。
※偽薬期間…28錠タイプのピルにある、最後の7錠の期間です。この期間のお薬にはホルモンが入っておらず、休薬期間と同様に生理が起こります。
詳しくはピルを処方してくれた医師に聞いておくと安心です。
もしも避妊効果を得られる前にセックスしてしまったら?
もしも避妊効果が得られる前に避妊をせずセックスをしてしまったら、なるべく早くアフターピル(緊急避妊薬)を服用しましょう。
また、低用量ピルは高い避妊効果はありますが、性感染症を予防することはできません。
自分の体を守るためにも、低用量ピル服用中もセックス時はコンドームを使用することをおすすめします。
まとめ
生理やピルの仕組みをきちんと知っておくと、より確実な避妊方法を選択することができます。
ピルを飲み始めるときは、避妊効果がでる時期を正しく理解し、必要に応じて他の避妊方法も合わせて検討してみてくださいね。
医師監修:小林克弥先生
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