伝えるかどうか、迷うのも自然なこと
ピルを飲んでいる人に、最初に伝えたいことは3つあります。
- ピルを飲んでいることは決して恥ずかしいことではないということ
- 周りの人に伝えることを迷ったり、伝えていなかったりすることに後ろめたさは感じなくていいということ
- ピルを飲んでいることを周りの人に伝えるか迷ったとしても、自然なことだということ
そもそも、自分がピルを飲んでいることをパートナーに伝えるかどうか迷うのは、とても自然なことだと思います。日本のピル服用率は約3%とされていて、まだまだピルが浸透している状況とは言えません。
※ちなみに、欧米での服用率は、フランス約33%、カナダ約28%、イギリス約26%と報告されています。
「ピルは遊んでいる人が飲むもの」「コンドームをつけたくない人が飲むもの」など、ピルを飲んでいる人に対して残念ながら偏見や誤解があるのも現状です。
周りにピルを飲んでいる人が少ないと、「理解してもらえないかもしれない」と、相手の反応が不安で言いにくいこともあるでしょう。
ですが、服用の目的に関わらず、ピルを飲んでいることに「恥ずかしさ」や「後ろめたさ」を感じる必要はありません。ピルを飲むという選択は、その人が自分のココロと身体に向き合って決めた決断です。
伝えるか伝えないかは、あなた次第
「こっそり飲むのがいやだから、自分の身体のことを知ってほしいから、伝えたい」「コンドームを使わなくていいと思われるのは困るから、伝えたくない」など、ピルの服用に関してパートナーに伝えることを考えたとき、頭をよぎる考えはいろいろあると思います。
パートナーにピルの服用を伝えるか伝えないかは、あなたの気持ちを優先して決めて大丈夫です。自分がより安心して過ごせる選択肢を、まずは考えてみてくださいね。
伝えた場合、考えられるデメリットは?
伝えることで、デメリットが生じる場合もあります。
例えば、普段から避妊に協力してくれないなどの場合です。ピルを飲んでいると伝えることで、コンドームをつけてくれなくなったり、あなたの同意なしで膣内射精をしたり、といったリスクが考えられます。
判断は難しいですが、もしも普段からパートナーが避妊や性感染症の予防にあいまいな態度をとっている場合は、伝えることに少し慎重になってもいいかもしれません。
伝えることのメリット4つ
さて、ここからは、伝えることのメリットを4つに分けて紹介します。
①副作用があるとき体調を伝えやすくなる
②こっそり服用することのストレスがなくなる
③生理や身体のことを話すきっかけに
④将来の妊娠や出産について話すきっかけに
①副作用があるとき体調を伝えやすくなる
ピルを飲んでいると、体内のホルモンバランスの変化で副作用が起こることがあります。身体の状態を知ってもらうことで、パートナーがあなたの体調を気遣ったり、二人で一緒に心地いい過ごし方を考えられるようになったりするかもしれません。
例えば、ピルの副作用で頭痛や不正出血があるとき。体調を伝えた上でデートの日程を調整したり、身体に負担がないようセックスの方法やタイミングを相談したりできるといいですね。
②こっそり服用することのストレスがなくなる
パートナーの前で、いつでもピルが飲めるようになると、ピルを飲み続ける安心感も増すはずです。
デート中など、タイミングを見計らっているうちに服用の時間がズレてしまった...ということも減るかもしれません。
また、パートナーに服用する時間を伝えておくことで、あなたが飲み忘れないように協力してくれる場合も◎
③生理や身体のことを話すきっかけに
普段パートナーとあまり話したことがなかった話題だとしても、ピルの効果や仕組みの話を通して、生理や身体のことを話すきっかけになるかもしれません。
自分のことを知ってもらうことで、生理の不調を伝えやすくなったり、相手の身体のことを知ったりするきっかけにもなるでしょう。
④将来の妊娠や出産について話すきっかけに
ピルの避妊効果を考えたとき、将来の妊娠について話すきっかけになることがあるかもしれません。「将来子どもが欲しいか、欲しくないか」「ピルをいつまで服用しようと思っているか」「何歳くらいで子どもが欲しいか」などなど...。
妊娠や出産は、人生に大きな影響があるイベントです。こういった会話は、あなたとパートナーがそれぞれ持っている価値観や思い描く人生プランを知ることにも繋がります。
伝えるときのステップ5つ
「伝えてみよう」と決めたら、どんな伝え方をしたらいいのでしょうか?コミュニケーションの方法は人によってさまざまですが、ここからは下記の5つのステップを紹介していきます。
①話す前の準備をしよう
②場所・タイミングを選ぼう
③伝えるポイントは目的に合わせて絞ろう
④相手の気持ちを聞こう
⑤これからのセックスについて話そう
※家族や友達に伝えてみたいと思ったときも、このステップ(特に①~④)を参考にしてみてくださいね。
①話す前の準備をしよう
まず「何を伝えたいか」を自分の中で整理します。
考える際のポイントをいくつかピックアップしているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ピルについて伝えることを考えたとき...
- どうして伝えたいのか
- 相手に何を知ってほしいのか
- 伝えることで二人の関係がどうなってほしいのか...etc
こうして自分の考えを整理できると、パートナーに伝えたい内容が少しずつはっきりしてくるはず。
※詳しい伝え方については、③のステップで説明します。
また、もし余裕があったら、聞かれそうな質問(副作用や避妊効果など)とその答え方もちょっと考えておけるといいかもしれません。ただ、あなたが頑張って全部説明する必要はないので、まずは「何を伝えたいか」準備しておければ十分です!
②場所・タイミングを選ぼう
あなたの伝えやすい場所とタイミングを優先して決めましょう。
リラックスできる空間を選ぶのがおすすめです。話しやすいと思う環境は人それぞれなので、下記の例を参考に考えてみてくださいね。
(例)
- 寝室の明かりを消して修学旅行スタイルで
- 気分転換にドライブ中に
- 家の近所をぶらぶらお散歩中に
- 週末のランチや、夕ご飯の合間に
- お風呂後のくつろぎタイムに
- LINEやDMで伝えてみる
- 電話で伝えてみる...etc
③伝えるポイントは目的に合わせて絞ろう
伝えるポイントは、目的に合わせて決められるといいでしょう。
(例A)
目的:自分の身体の状態(月経困難症の治療中)を知ってほしい
伝えるポイント:生理痛の治療で〇〇ヶ月前からピルを飲んでいる、今は生活がかなり楽になった
(例B)
目的:避妊費用を折半したい
伝えるポイント:避妊目的で飲んでいて、ピルに〇〇円/月かかっている
(例C)
目的:避妊について話したい
伝えるポイント:過去に避妊に失敗してピルを飲み始めたけど、今もセックスの度に不安があるから必ずコンドームはつけてほしい
【ピルについて少し知ってもらおう】
パートナーにピルのことを正しく理解してもらうために、病院からもらっているパンフレットや、ピルについて解説している動画や記事などを一緒にチェックしてみるのもおすすめです。
~パートナーと一緒に見て・読んでほしいコンテンツ~
助産師/性教育YouTuber シオリーヌさんのコチラの動画をチェック▼
ピルってどんな薬?効果や副作用を徹底解説!【前編】
ピルのメリット・デメリットを比較!納得して自分で決めることが大事【後編】
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④相手の気持ちを聞こう
伝えた後は、パートナーの気持ちも聞いてみましょう。相手がピルに対してどんなイメージを持っているか、③の説明を聞いた感想などを話し合えるといいですね。
パートナーが何かしらの疑問やモヤモヤを感じている場合は、一度カップルで受診できる病院を探して、一緒に医師の説明を受けてみるのも一つの選択肢です。
また、もしもパートナーがちゃんと耳を傾けてくれなかったり、あなたを傷つけるようなことを言ってきた場合は、少し距離を置いてみるのもいいかもしれません。
あなたがピルを服用するかどうかを決めるのは、パートナーではありません。あなたの身体のことは、あなた自身に決める権利があります。
もし、伝えるまでに時間がかかり、そのことで何か言われたとしても、勇気が必要だったことを伝えてみてくださいね。勇気を出して伝えられたあなたはとても立派ですし、伝えていなかったあなたは何も悪くありません。
⑤これからのセックスについて話そう
今後のセックスにおいて、コンドームを使用するかしないか、という点も話し合っておきましょう。
ピルには、性感染症を防ぐ効果はありません。「コンドームを併用した方が安心」という場合は、その気持ちを伝えてみてくださいね。
コンドームなしのセックスを検討する場合は、お互いにとって安全なセックスができるように、性感染症の検査などについても話し合っておきましょう!
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一番大事なのは、あなたが安心できること
最後に伝えたいのは、「一番大事なのは、あなたが安心できること」ということです。
あなたの身体は、あなたのもの。あなたが自分の身体に向き合って決めた、「ピルを飲む」という決断は、どんなときも尊重されるべきです。
今回は「伝え方」に焦点を当てましたが、二人の関係性や自分の気持ちなどと向き合ったときに「伝えたくない・伝えないほうがいいかな」と思ったら、もちろん伝えなくても大丈夫です。
自分が安心して、心地よく過ごせることを最優先にしてくださいね。
自分の状態を相談したい場合は?
不安なこと、お悩みを薬剤師・助産師に直接相談することができます。
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